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リーグ5位の攻撃力を持つ新潟アルビレックスBBはなぜ勝ち越せないのか?

新潟アルビレックスBBの2017-18シーズンは中地区で3位、勝率は.467(28勝32敗)、チャンピオンシップへの出場はならず、という結果に終わりました。チームとして満足のいく結果だったとは言い難いでしょう。

得点王タバンテ・ガードナーを擁する新潟は、この記事で分析した通りリーグ5位の得点効率を誇ります。以下、各チームの得点効率と勝率をプロットしたものです。

得点効率ではリーグで5位である新潟が、京都、名古屋D、琉球、栃木など得点効率で新潟に劣るチームに勝率では後塵を拝しているのが分かります。

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またこちらの記事で分析した各チームのターンオーバー数を見ても、新潟はリーグトップのチームのひとつであることが分かります。

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このように高い得点力を誇り、かつターンオーバー数、つまりミスの数も少ない新潟がなぜ勝ち越すことすらできないのか、この記事ではそれを分析したいと思います。

ちなみに大前提ですが、あくまでデータ分析の対象として新潟が興味深かったので分析しているだけであり、私的な感情はありませんことをご留意ください。

仮説

得点能力が高いのに負けてしまっていることから、以下の可能性を考えました。分析する中でこの仮説が当たっているかどうかも検証していきたいと思います。

  • スローペース・ロースコアの試合に持ち込まれ、高い得点能力を活かしきれず負けてしまう
  • ディフェンスが弱く、相手にも高得点を許してしまう

では分析を始めましょう。

ポゼッション

勝った試合と負けた試合でポゼッションに違いがあったかを見てみましょう。ポゼッションが少ない試合で負けていれば、スローペースで負けているかもしれないという仮説の確証が高まります。ポゼッション数はこの記事で紹介した方法で近似しています。

以下の箱ひげ図、左が負けた試合のときのポゼッション数の分布、右が勝った試合のポゼッション数の分布を表していています。

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中央値(真ん中の線)を見るとあまり違いはなく、25パーセンタイル(下辺)を見ると、僅かながら勝った試合の方がポゼッション数は少なかったと言えるようです。よってひとつ目の仮説は外れました。

得点効率

同じ要領で得点効率、つまり得点数をポゼッション数で割ったものを見てみましょう。

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やはり得点効率の良さは如実に試合結果に表れるようです。ちなみに負けた試合にも得点効率が1.3付近のものが2つあるのが分かると思いますが、その試合は以下のものでした。

日時 対戦チーム 得点 失点
2018.02.10 京都 92 94
2017.12.16 三河 94 104

京都も三河も高い攻撃力を誇るチームなので、この試合は相当な点の取り合いだったことが予想されます。非常に観戦しがいのある試合だったことでしょう。

では以下で各シュートの指標を同じ要領で見ていきましょう。

シュートの成功確率

以下は2点シュートの成功確率、3点シュートの成功確率、フリースローの成功確率を同じ要領で箱ひげ図にしたものです。

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2点シュートには差がなく、3点シュートには大きな差があり、フリースローにも勝ち試合の方が確率で上回る傾向があるのが分かります。これを見る限りどうも3点シュートの確率に鍵がありそうです。

ちなみに3点シュートを打った回数についてはあまり差はないようです。

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新潟のスリーポイントの状況

選手ごとのスタッツの話になりますが、以下が新潟の選手のスリーポイントの成績です。目立つところで言えば、五十嵐のスリーポイントの本数です。この数字は川崎の辻に続き、リーグで2番目の多さです。

2017-18シーズンの新潟の選手のスリーポイント

PLAYER 打った回数 成功率
五十嵐 圭 335 0.34
城宝 匡史 183 0.34
池田 雄一 176 0.38
ダバンテ・ガードナー 149 0.30
今村 佳太 130 0.38
ラモント・ハミルトン 107 0.34
鵜澤 潤 97 0.40
畠山 俊樹 91 0.33
遥 天翼 45 0.29
オースティン・ダフォー 27 0.26
森井 健太 19 0.21
佐藤 優樹 10 0.30

五十嵐は成功率が34%に留まっており、チームの主要なスリーポイントシュートの担い手としては少し物足りない数字となっています。例えば川崎の辻は39%の成功率を達成しています。

五十嵐の負担が大き過ぎるのではないか?

五十嵐はポイントガードとしてチームのゲームメイクもこなしつつ、主要なスリーポイントシューターとしての役割も担っていることになります。

スリーポイントに限らず、ジャンプシュートは自分でドリブルをしてから打つよりも(いわゆるプルアップ)、パスをもらって打つ方が高い確率で決まることは知られており、その意味でもポイントカードがシューターの役を担わない方が理想的です。

実際にリーグで多くスリーポイントを打っている選手を見ると、純粋にポイントガードとしての役割もこなしているのは千葉の富樫くらいに思えます。富樫のスリーポイント成功率は4割を超えますが。

2017-18シーズンで多くのスリーポイントを打った選手

TEAM PLAYER ポジション 打った回数 成功率
川崎 辻 直人 SG 373 0.39
新潟 五十嵐 圭 PG 335 0.34
琉球 岸本 隆一 PG/SG 327 0.36
西宮 ドゥレイロン・バーンズ SG/SF 318 0.32
三遠 田渡 修人 SG 305 0.39
京都 岡田 優介 SG 300 0.36
千葉 富樫 勇樹 PG 280 0.42
三河 金丸 晃輔 SG/SF 271 0.40
富山 大塚 裕土 SG/SF 267 0.40
大阪 熊谷 尚也 SF/PF 264 0.32

考えられる対策

簡単にですが、新潟アルビレックスBBの2017-18シーズンについてデータを振り返ってみました。結果を見る限りでは、スリーポイントの成功率の鍵が成功を握っている可能性が高いと見ています。

今シーズンで城宝は契約切れとのことですが、五十嵐に代わるスリーポイントシューターを獲得するか育てるかを検討し、五十嵐をゲームメイクの方に専念させるという対策が考えられるかもしれません。

五十嵐に代わるポイントガードを育て、五十嵐をシューターにするという手もありますが、個人的にはそれは五十嵐のスピードとアシスト力が勿体ないと思います。

参考文献

得点効率の求め方などは、以下の書籍を参考にしています。

Basketball Analytics: Spatial Tracking

Basketball Analytics: Spatial Tracking