比江島が三河から栃木に移籍するというニュースが大きな話題になりました。このオフはサプライズ移籍の報が続いておりますが、流石にこれ以上のサプライズニュースは出ないのではないかというくらいのビッグニュースでしたね。余談ですがこうしてオフシーズンに移籍自体が大きなニュースになるのは、Bリーグの今後にとってとても素晴らしいことだと思います。
さて比江島が栃木に入るとどのようなインパクトがあるでしょうか。昨シーズンの栃木のメンバーと比江島の数字を比べながら考察してみましょう。
2017-18の栃木ブレックスの得点内訳
下の図は2017-18シーズンにブレックスの各選手を総得点の多い順に左から並べたものです。赤線はその選手まででチームの総得点の何%を占めているのかを表しています。ブレックスはロシター、喜多川、遠藤、そしてボーズマンの4人でチームの50%の得点を挙げているのが分かります。
栃木は全員バスケットと謳っているとおり、ロシターを例外として渡邉まで各選手がかなり万遍なく点数を挙げている印象です。比江島の得点力であれば今後はロシターと並んでチームの主力得点源となるのは間違いないと思いますが、それが他の選手の得点にどう影響するのかも見ものです。比江島はアシストも得意としていますから、例えばロシターのインサイドプレイや喜多川のスリーポイントが比江島のプレイからクリエイトされるシーンも楽しみにできそうです。
比江島の決定力の高さを表すFG%, eFG%, TS%
2017-18シーズンにおける栃木主要選手と比江島のFG%(フィールドゴール%)と、それからeFG%*1、TS%*2と呼ばれる3つの%を見てみましょう。
PLAYER | FG% | eFG% | TS% |
---|---|---|---|
ライアン・ロシター | 46.5% | 49.1% | 49.1% |
比江島 慎 | 50.5% | 55.1% | 57.9% |
喜多川 修平 | 41.2% | 51.4% | 54.5% |
遠藤 祐亮 | 37.1% | 43.9% | 45.8% |
セドリック・ボーズマン | 46.4% | 49.2% | 54.8% |
ジェフ・ギブス | 49.2% | 51.6% | 58.4% |
竹内 公輔 | 49.4% | 50.1% | 52.5% |
田臥 勇太 | 47.7% | 48.2% | 52.8% |
鵤 誠司 | 39.3% | 42.2% | 44.3% |
生原 秀将 | 39.1% | 44.9% | 48.8% |
渡邉 裕規 | 35.1% | 43.2% | 44.7% |
まずFG%が見ていきたいのですが、比江島はインサイドの選手であるロシター、ギブス、竹内よりも高いFG%を誇っています。通常FG%はゴールの近くでシュートを打つ事の多いインサイド陣がアウトサイド陣を上回るので、比江島の決定力が如何に高いのかよく分かります。
下は以前にツイートしたものですが、実際にリーグ内の得点力の高い日本人選手と比べてみても、比江島のFG%は頭ひとつ抜け出しているのです。
栃木に移籍で話題の比江島。図のY軸は2017-18シーズンのフィールドゴール成功率。得点力の高い日本人選手と並べても、比江島の決定力の高さが抜け出しているのが分かる。栃木でこの男がさらにどう進化するのか、目が離せませんね。 pic.twitter.com/3K9WjhPxwd
— Rintaro Masuda (@rintaromasuda) July 19, 2018
次にeFG%を見てみると、これも抜けて高いのが分かります。eFG%はスリーポイントシューターに下駄を履かせる感じの指標ですが、比江島はシーズン129本中51本成功と39.5%のスリーポイント成功率を誇っており、41.7%の確率でスリーポイント王となった喜多川と比べても見劣りしない成功率を誇っています。「あいつ、外からも打てるのか?!」というスラムダンクの1シーンが思い浮かぶようです。
TS%はフリースローも考慮に入れた指標ですが、比江島はフリースローの成功率向上には余地はあるものの、これもフリースローに安定感のあるギブスを除いては比江島がトップです。
上の表はシーズントータルのスタッツを用いて計算したものですが、それぞれの%が1試合ごとにどうだったかを計算し、引用したツイート内の画像のように分布をプロットしてみましょう。出場時間がなかった試合とフィールドゴール試投がなかった試合は除いています。
比江島が安定して高い決定力を保っていたことが分かると思います。
まとめ
比江島が入ることで、安定感のあるロシターの得点力と、高い確率でスリーポイントを決める喜多川の得点力に加え、高い確率でフィールドゴールを決める比江島の決定力が栃木のオフェンスに加わりそうです。また比江島を起点に作られる新しいオフェンスパターンにも注目が集まりますね。2018-19シーズンの栃木のゲームが楽しみです。