データとバスケ

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書評「Unguarded」(Scottie Pippen)

最近はバスケ関連本の感想ブログと化している当ブログですが、とりえあずこの『Unguarded』で書評はひとまずお休みにしようかなと思っております。NBA関連の本をちょっと原著で読んでみようかなと最初に考えたとき、この本が実は第一候補だったのですが、ペーパーバック版がまだ発売されていなかったので後回しにしていました。ハードカバーって実は読み辛くてちょっと苦手です。

本書の冒頭で説明されているのですが、この本はNetflixでヒットしたマイケル・ジョーダンの『THE LAST DANCE』のカウンターパンチ的に著されたものです。ピッペンに纏わる逸話にはいくつかそのような話がありますが、『THE LAST DANCE』でもジョーダンの視点からブルズの栄光が描写されており、自分が得るべき賞賛が十分に表現されていないと感じたことがきっかけになっているようです。

私が本書を通して感じたのは、例えばジョーダンの陰に隠れて過小評価されていたり、ブルズとの契約の絡みで得るべき額のサラリーを得なかったりといった話は、むしろピッペンを特別な存在として際立たせるストーリーだなということです。ピッペンはもちろんNBA史上に名を残す偉大なプレーヤーですが、そういったストーリーが更に彼というプレーヤーの存在を特別なものにした、そのように感じました。サラリーに関しても当然 underpaid だったことは間違いないですが、誤解を恐れずに言えばその話題が今なおこうして話題に出来る事を考えれば「元が取れた」と言えるかもしれません。

それに私のような90年代NBAファンからすれば、ピッペンは彼が思うほどには過小評価されていないと感じます。ライト層からは『ジョーダンの右腕』くらいの印象を持たれているかもしれませんが、ドリームチームでの活躍を含め、当時のNBAを沸かせたバークリー、ロビンソン、ユーイング、オラジュワン、ストックトン、マローン等々に比肩するどころか、6度のチャンピオンに輝いた正真正銘のスーパースターです。おそらく世界中の多くのバスケファンの中で同じ認識でしょう。

ピッペンがNBA入りしてからの話は大枠で知っていることが多かったのですが、ピッペンの幼少期についてはまったく知識がありませんでした。以前に読んだヤニスの生い立ちと同様、かなり厳しい暮らしをしていた少年時代について知ることができたのは良かったです。今ではピッペンの長男さんがNBA入りを目指してGリーグでプレーしているのですから、時が流れるのは早いものです。