ニック・ファジーカスの勢いが止まりません。先日のFIBAワールドカップアジア予選Window 5、本当にすごかったですね。その後にこんなネタツイートをしたら皆さんそう思っていたのか、少しウケたようです笑
国内の問題から国際問題になりつつある「ファジーカスの止め方が分からない問題」。
— 増田林太郎 / Rintaro Masuda (@rintaromasuda) 2018年12月3日
カザフスタン戦では何と41得点、本人曰く調子が悪かったカタール戦も19得点と大活躍で、もはや冗談抜きでアジア最強のスコアラーのひとりとしての地位を確立しつつあります。
この記事では、そんなファジーカスのこれまでのBリーグでの活躍を振り返ってみたいと思います。
出場試合数と出場時間
まず着目したいのは出場試合数と出場時間です。ファジーカスは2016-17、2017-18レギュラーシーズンにはすべてのゲームに出場しています(ちなみにスターターでなかったのはただ一度のみ。)
今シーズンこそ脚の手術の影響で開幕2連戦を欠場しましたが、その後は毎試合コートに立ち、Bリーグ開幕以来ほぼ皆勤賞の活躍を続けています。
その全137試合の出場時間は以下のように分布しています。
今シーズンは上述の理由により序盤の出場時間は抑えられていましたが、それ以外は標準的に毎試合30分前後の出場をこなしています。ほぼ皆勤賞でこの出場時間をこなすファジーカスは、コートの外でもプロフェッショナルとして様々な努力をしていることでしょう。
試合ごとの得点と分平均得点
2016-17シーズンでは得点王、2017-18シーズンではガードナーに続いて試合平均得点で2位となったファジーカスですが、レギュラーシーズンの得点がどのように分布したのか見てみましょう。ひとつ目の図は試合ごとの得点、ふたつ目の図は出場時間に左右されないように試合ごとの分平均得点を表しています。
まず気になるのがシーズンを追うごとにパフォーマンスが落ちているように見えることですね。これは一概にファジーカスのパフォーマンスが落ちているとは結論できず、他の選手が点を取るようになりファジーカスへの依存度が落ちている結果かもしれません。これについては別の分析が必要でしょう。
出だしが不調だった今シーズンは置いておき、過去2シーズンは試合ごとの得点で言うと中央値(箱の中の線)が25点から27点、25パーセンタイル(箱の下辺)でも21点から23点くらいと、圧倒的な得点力を誇っています。日本語で言えば「ちょっと調子が悪い時でも21点から23点くらい」という感じなので、まさにWindow 5のカタール戦状態です。
今シーズンの残り41試合で分布がどのように変わってくるのかは分かりませんが、おそらく現在の75パーセンタイル(箱の上辺)が中央値くらいになってくる、つまり毎試合25点くらい取るゲームが続くことが過去のデータからは予想されます。
FG%
同じ要領でFG%を見てみましょう。
非常に安定していますね。過去2シーズンについては25パーセンタイルと75パーセンタイルが大体50%から63%にありますので、ファジーカスのFG%はほぼこの中に収まっていることになります。インサイドの選手なのでFG%は高くあるべきですが、ファジーカスはそれなりに外も打ちますので、極めて高い決定率を保っていると言っていいと思います。
2016-17と2017-18を比べると、2017-18の方がFG%が良いですね。上述の得点と併せて考えると、ファジーカスが打つシュート数が少なくなってきているのかもしれません。見てみましょう。
まさに、という感じですね。川崎ブレイブサンダースのシュート回数に変化がないのであれば、だんだんとファジーカスのシュートへの依存度が減っていることが推測されます(ファジーカスはシュートが「打てない」というシチュエーションのあまりない選手ですしね。)
ファジーカスを攻略しているチームはあるのか?
今度はファジーカスのパフォーマンスを対戦チームごとに見てみましょう。アジア最強のスコアラーを攻略できているチームはあるのでしょうか?各チームとの対戦数は以下のようになっています。
チーム | 対戦数 |
---|---|
SR渋谷 | 14 |
A東京 | 12 |
富山 | 11 |
横浜 | 10 |
栃木 | 10 |
北海道 | 10 |
三遠 | 9 |
滋賀 | 8 |
新潟 | 8 |
千葉 | 8 |
三河 | 7 |
大阪 | 6 |
名古屋D | 6 |
琉球 | 6 |
京都 | 4 |
秋田 | 2 |
西宮 | 2 |
仙台 | 2 |
島根 | 2 |
まず分平均得点を見てみましょう。
左からSR渋谷、三河、栃木は健闘していますね。と言っても一番良い栃木でも中央値が0.6~0.7くらいのところに位置しているので、ファジーカスが30分プレーするとやはり20点ペースくらいでは点を取られているということになります。おそるべし。
次はFG%です。
仙台は低く見えますが、対戦数が僅か2試合なのでちょっと検討の対象外かなと思います(ちなみにこの2試合でニックはかなり多くのシュートを放っています。)ここで目立つのもSR渋谷ですね。中央値ベースでファジーカスのFG%を50%以下に抑えている様子が窺えます。ちなみに名古屋Dも悪くありません。
今季はまだサンロッカーズ渋谷や名古屋ダイヤモンドドルフィンズと川崎ブレイブサンダースは対戦しておらず、すべての2016-17と2017-18シーズンのゲームでの数値です。どんなディフェンスをしていたのか、各チームは参考にしてみると面白いかもしれませんね。
まとめ
アジア最強のスコアラーとなりつつあるニック・ファジーカスのこれまでの活躍をデータで振り返りました。Window 5の2試合は合計60点とまさに大黒柱の活躍。Window 6も間違いなく中心的な役割が求められるファジーカス。Bリーグでも日本代表でも、彼の活躍からまだまだ目が離せそうにありません。