データとバスケ

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川崎ブレイブサンダースのオフェンス不調とそこからの復調を可視化する

この記事は川崎ブレイブサンダース Advent Calendar 2018の第4日目に寄稿するものです。第3日目はRie Hiranoさんによる「一緒にアリーナへ行こうよ!」でした。

オフェンス不調を経験した今シーズン序盤の川崎ブレイブサンダース

華やかなB1のシーズン開幕戦にて、ファジーカス抜きで強豪千葉ジェッツ相手に2連勝という鮮烈なスタートを飾った川崎ブレイブサンダースでしたが、その後は特にオフェンス面での不調に苦しみました

以下のプロットは各チーム1〜10試合目のデータを使ったものですが、1ポゼッション当たりの得点(x軸)で川崎はなんとB1で最下位となっていました。

ちなみにy軸は1ポゼッション当たりの失点、〇の大きさはこの時点での勝率を表しています。ポゼッションはオリバー式と呼ばれる簡易な方法で近似値を求めています。

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リーグ屈指のスコアラーであるファジーカスと、日本代表のシューターである辻を擁する川崎のオフェンス力がリーグ最下位。にわかに信じがたい結果でしたが、ご存知の通り、このふたりのエースが不調の中心でもありました。

この記事では川崎ブレイブサンダースの今季序盤のオフェンスの不調と、そこからの復調を可視化してみたいと思います。

スリーポイントシュート成功数の推移

川崎ブレイブサンダースは標準的に1試合で何本くらいスリーポイントシュートを成功させるかご存知でしょうか?過去2シーズンのデータで調べてみましょう。

過去2シーズンには違う選手が属していたわけですが、川崎は他のチームよりは選手の変化も少なく、北HCもずっと指揮を執り続けているためチームの傾向を参考にする分には問題ない程度の変化しかなかったと見做します。

こちらが過去2シーズン、試合ごとのスリーポイント成功数をヒストグラムにしたものです。x軸が成功数、y軸は試合数です。

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ご覧の通り1試合で6-8本決めるくらいが標準的であることが分かると思います。ざっくり言って9本以上決めると調子がいいと言って良さそうで、逆に5本以下だと少し調子が悪いと言えそうです。

ついでにスリーポイントの試投数、つまり打った回数の分布を見ると以下のようになります。標準的には15-22本くらい打っているのかなという感じです。

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では上記を前提として、今シーズンのスリーポイント成功数の推移を見てみましょう。ラベル内にあるのは各ゲームの対戦相手、そしてその下にあるのが川崎のスリーポイント成功率です。

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開幕2連戦こそ調子は良かったのですがその後の本数は低迷しています。成功数が5本に満たないゲームが続きました。アルバルク東京戦では何と成功数0本を記録(試投数は8本)Bリーグとなって以来、川崎のレギュラーシーズンでの最低記録を出してしまいました。

余談ですがブレイブサンダースは5試合目の三河戦で「カワサキスリーポイントチャレンジ」というイベントを開催しています。スリーポイントが何本入るか予想するというイベントだったのですが、皮肉なことに相当なスランプの真っ最中での開催となってしまいました。

琉球戦あたりから調子を取り戻しつつあるようです。成功数ベースではまだスランプを完全に抜けきったとは言えませんが、徐々に成功率を取り戻しているのが分かります。辻の怪我などまだまだ不安要因の残るエリアですが、もう少しすればいつもの川崎のスリーポイントが戻ってくる、という予感はあります。

1ポゼッション当たりの得点の推移

スリーポイントシュートの復調に合わせるように、徐々にチームの主砲ファジーカスも手術によるブランクで落としたコンディションを上昇させていきました。もはや「20点取って当たり前」の扱いをされるファジーカスですが、川崎と日本代表の為に、復活に向けて様々な努力をしていたことでしょう。

そのファジーカスの復調、スリーポイントの復調、すべて込み込みで、川崎ブレイブサンダースの1ポゼッションあたりの得点数が試合ごとにどのように推移したのか見てみましょう。

ちなみにポゼッションというのは「攻撃の機会」みたいな意味です。公式には発表されていないスタッツなので、上述したオリバー式で近似値を求めています(この記事に式が書いてあります。)

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琉球との2戦目あたりから調子を取り戻し、1ポゼッション当たりの得点を1.0以上に乗せていますね。その後の得点力は安定を見せているようで、ディフェンスの強いチームであるアルバルク東京栃木ブレックスを相手にしても、シーズン序盤のように得点力が低下することはなかったようです。

琉球との2戦目と言えば、ファジーカスがスターティングメンバーで起用され始めたゲームでしたよね。いやはや、やはりすさまじく影響力の強い選手なんですね。おそらくスリーポイントの復調にも大きく影響していることでしょう。彼がいることでチームが機能する、そういう面があると思います。

まとめ

注目の集まったB1開幕戦にてファジーカス抜きで千葉に連勝し、「川崎強すぎじゃね?」と囁かれたブレイブサンダースですが、オフェンスの不調に苦労した2018-19シーズン序盤となりました。徐々に調子を取り戻しつつあるようで何よりですね。

中盤から終盤に向けて川崎ブレイブサンダースのオフェンス力がどうなるのか、是非注目してみてください!Go!Go!サンダース!!