この記事では 2017-18シーズンにおけるB1各チームの得点効率がどれくらいだったかを見ていきましょう。
得点効率とは
得点効率の前にポゼッション(Possession)と呼ばれる概念を先に説明させて下さい。
ポゼッションとは
ポゼッションとは簡単に言ってしまえば攻撃回数ですが、もう少しだけ突っ込んで説明すると攻撃ターンが相手から回ってきた回数です。
相手からターンが回ってきた回数なので、例えばオフェンスリバウンドを拾ったり、もしくはフリースローに繋がらないファウルをディフェンスからもらったときは、新しいポゼッションが始まらず、同一のポゼッションが続くことになります。
ポゼッションはシュート決めるか、外してディフェンスリバウンド取られるか、ターンオーバーやオフェンスファウルをするか等で終わります。
(再度)得点効率とは
総得点を総ポゼッション数で割ったものです。Bリーグ公認アナリストである佐々木クリス氏の記事によると、それに100をかけたものがよく使われるらしいです。
得点効率 = 総得点 / 総ポゼッション * 100
ということになります。つまりこの数字は
「100回攻撃ターンが回ってきたら、そのチームは何点くらいとれるの?」
ということを示しています。
B1各チームの得点効率(2017-18シーズン)
ではB1各チームの得点効率を見てみましょう。残念ながらBリーグのサイトにはポゼッションの情報は掲載されていないのですが。以下のように近似することが一般的だということなので、それで計算します。
ポゼッション数 = フィールドゴールを打った回数 - オフェンスリバウンドの回数 + ターンオーバーの回数 + 0.44 * フリースローを打った回数
フリースローが絶対に2本であれば0.44ではなく0.5をかければフリースローを得るに終わったポゼッションの回数が求められますが、バスケットカウントの場合と、スリーポイントシュートに対するフリースローの場合を考慮すると、経験的に0.44がちょうど良いらしいです。
では以下がその数字です。総得点(PTS)と総ポゼッション数(POS)、ポゼッションごとの平均得点(PPP)と、単純にPPPを100倍したPPP100です。
2017-18シーズンのチーム得点効率
TEAM | PTS | POS | PPP | PPP100 |
---|---|---|---|---|
三河 | 5078 | 4387 | 1.16 | 116 |
千葉 | 5072 | 4505 | 1.13 | 113 |
川崎 | 4942 | 4430 | 1.12 | 112 |
A東京 | 4754 | 4234 | 1.12 | 112 |
新潟 | 4857 | 4401 | 1.10 | 110 |
京都 | 4683 | 4322 | 1.08 | 108 |
北海道 | 4766 | 4502 | 1.06 | 106 |
名古屋D | 4753 | 4473 | 1.06 | 106 |
琉球 | 4495 | 4286 | 1.05 | 105 |
富山 | 4644 | 4529 | 1.03 | 103 |
栃木 | 4494 | 4347 | 1.03 | 103 |
横浜 | 4522 | 4508 | 1.00 | 100 |
大阪 | 4418 | 4415 | 1.00 | 100 |
滋賀 | 4416 | 4421 | 1.00 | 100 |
三遠 | 4370 | 4362 | 1.00 | 100 |
SR渋谷 | 4276 | 4359 | 0.98 | 98 |
島根 | 4253 | 4383 | 0.97 | 97 |
西宮 | 4328 | 4518 | 0.96 | 96 |
恐るべきは三河の攻撃力です。得点効率2位の千葉よりも総ポゼッション数はかなり少ないというのに、総得点では千葉と同等なのが分かると思います。つまり得点の効率がより良いということになります。
ポゼッションが一番多いチームは意外にも富山でした。つまり富山は今シーズン一番オフェンスの機会が多かったことになります。これを実際に点に繋げる、つまり特典効率を上げることは今後の富山の課題でしょう。
参考に、以下がポゼッションの計算に使用した数字です。
2017-18シーズンのポゼッション数の近似計算に使った値
TEAM | POS | フィールドゴール試投数 | オフェンスリバウンド数 | ターンオーバー数 | フリースロー試投数 |
---|---|---|---|---|---|
三河 | 4387 | 3887 | 648 | 657 | 1117 |
千葉 | 4505 | 3920 | 652 | 735 | 1142 |
川崎 | 4430 | 3889 | 701 | 732 | 1160 |
A東京 | 4234 | 3762 | 660 | 637 | 1126 |
新潟 | 4401 | 3849 | 593 | 661 | 1101 |
京都 | 4322 | 3640 | 653 | 751 | 1328 |
北海道 | 4502 | 3861 | 642 | 782 | 1138 |
名古屋D | 4473 | 3851 | 555 | 742 | 989 |
琉球 | 4286 | 3666 | 659 | 847 | 981 |
富山 | 4529 | 4083 | 661 | 709 | 904 |
栃木 | 4347 | 4063 | 758 | 646 | 901 |
横浜 | 4508 | 3871 | 652 | 791 | 1132 |
大阪 | 4415 | 3805 | 664 | 812 | 1049 |
滋賀 | 4421 | 3830 | 684 | 820 | 1033 |
三遠 | 4362 | 3661 | 500 | 725 | 1081 |
SR渋谷 | 4359 | 3996 | 738 | 717 | 872 |
島根 | 4383 | 3885 | 666 | 790 | 850 |
西宮 | 4518 | 4066 | 691 | 736 | 925 |
得点効率と勝率の関係
三河は今シーズンは最高勝率をマークしましたが、勝率と得点効率はどのような関係にあるでしょうか?プロットしてみましょう。下のグラフはx軸が得点効率、y軸は2017-18シーズンの勝率です。
しっかりとした相関関係が見られると思います。実際に相関係数は0.864もありましたので、かなり強い相関ということ言えるでしょう。もちろんここにはディフェンス力のデータが反映されていませんので、ディフェンスも考慮したモデルを作成すれば、さらに納得のいく関連性を見ることができると思います。
補足
リンクした佐々木クリス氏の記事は前シーズンの2016-17を元にした数字ですが、それにしても得点効率の数字が私のものと大分違います。おそらく彼はポゼッションの正しいデータを所有していて、それが影響している、つまりポゼッションがこの近似よりももう少し各チーム多いのだと思います。なので私の数字はあくまで私の記事の中で比較することにしか使えないのはご注意ください。
ちなみにその近似に関しては、以下の本で学びました。
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