データとバスケ

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長谷川技のスリーポイントショットについて考えてみる

この記事は川崎ブレイブサンダース Advent Calendar 2021の第1日目に寄稿するものです。2018年版2019年版と同様に先頭バッターと寄稿させて頂きます。何をするにも一番最初が一番いいと思っているタイプなので、なるべく一番手に行かせてもらっております。よろしくお願い致します!

さて、表題の通りみんな大好き長谷川技のスリーポイントショットについて考えてみたいと思います。実は昨シーズン長谷川のスリーポイントについてはちょっと気になっておりました。以下、いくつかの関連ツイートです。

もう少し詳しく見てみましょう。

2020-21シーズンの長谷川技のスリーポイントショット

上述のツイートの通りなのですが、2020-21の長谷川のスリーポイントショットはレギュラーシーズンは61本中10本成功で16.4%、チャンピオンシップでは6本中5本成功で83.3%という内容でした。チャンピオンシップという大一番で見せた確率の高さはもちろん際立ちますが、一方でレギュラーシーズンの確立の低さはかなり気になる所です。

ここでB1全選手のスリーポイントショット試投数と成功率を図にしてみましょう。長谷川を含め、おまけで川崎の各選手の名前もプロットしております。

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見ての通りではあるのですが、B1全選手の中で見たとしても、試投数と確率のバランスがかなり気になる位置づけです。ちなみに川崎の話題ではないのですが、東京アースフレンズZの久岡幸太郎に関しても似たような話題が昨季ありました。

佐々木クリスさんが仰るようにデータは質、量、そして文脈で見ることが重要なため、必ずしも試投数と成功率を見ただけで全てが語れる訳ではありません。しかし16.4%という成功率は、例えば長谷川がタフショットばかり放つ役割ばかりが課せられていたとしても、それでも相手にとってのオフェンスの脅威という面からすれば甚だ物足りないと言わざるを得ないと思います。

2020-21シーズン以前の長谷川技のスリーポイントショット

Bリーグの開幕からここまでのスリーポイントショットの成績を見ていきましょう。

レギュラーシーズン チャンピオンシップ
2016-17 59/141 (41.8%) 7/10 (70.0%)
2017-18 65/162 (40.1%) 2/9 (22.2%)
2018-19 55/141 (39.0%) 1/2 (50.0%)
2019-20 16/57 (28.1%) なし
2020-21 10/61 (16.4%) 5/6 (83.3%)

御覧の通りですが、2019-20シーズンより試投数、成功率ともにかなり落ちています。繰り返しになりますがデータを見るうえで文脈は重要です。私は川崎ブレイブサンダースのゲームをずっと追っている訳ではないのですが、これを見るにやはり外国籍選手、帰化選手の起用レギュレーション変更に伴う長谷川の役割の変化が大きく影響したという印象を持ってしまいます。ちなみに2018-19から2019-20にかけて、レギュラーシーズン平均出場時間も約24分から約17分と7分ほど減少しています。

それともスランプだったのか

使っておいて何ですが、「スランプ」等という便利な言葉を使って人間の状態を安易に丸めて表現してしまうのは好きではありません。ただ上述の役割の変化による確率の低下はひとつの有力な仮説ではありますが、それとは別に単に調子が悪い、タッチが悪いといった理由だったことも十分考えられます。上述した2020-21のチャンピオンシップにおける成功率の高さを見ても、そういった心理的な部分の影響は侮れないと思います。

こればかりは本人のみぞ知る、いやもしかしたら神のみぞ知る部分ではありますが、ひとりのファンとしては是非いつか本人の見解を聞いてみたいところです。

2021-22シーズンここまでの長谷川技

実は今シーズンここまでの川崎ブレイブサンダースのゲームはほとんど見られていないのですが、とりえあず第8節終了時点での長谷川の成績を見てみましょう。

レギュラーシーズン
2021-22 10/33 (30.3%)

スリーポイントショットの成功率は及第点(期待値1を及第点とすると33%)には届かず約30%ですが、少なくとも昨シーズンのような数字ではないようです。試合平均得点も3.0点となっており、平均1点台だった過去2シーズンと比べると、徐々にオフェンスでの存在感を取り戻しつつある姿が想像できます。今シーズンここからの躍進に期待したいですね。

結び

私が高校生の頃のバスケ部の監督が「オフェンスが出来ない選手でも起用できるけど、ディフェンスが出来ない選手は起用できない」と言っていたのをよく覚えています。これはもちろん極論ですけれど、監督曰くディフェンスの穴であればそこをひたすら突かれて点を取られてしまいますが、オフェンスであればその選手にボールを回さなければいいだけだからです。

監督が正しいかは置いておいて、この意味では例えオフェンスとしての脅威ではなくても、長谷川はまだまだ川崎ブレイブサンダースの勝利の為に起用され、そして貢献できる選手だと思います。しかしピック&ロールから数的優位を作り、ディフェンスに多くの選択肢を想定させる事を根幹とする現代バスケのオフェンスにおいて、オフェンスの脅威となれない選手をコートに置くことはリスクであることもまた真理です。

ディフェンス職人としてブースターを盛り上げる長谷川技はもちろんのこと、ちょうど2020-21のチャンピオンシップにおける長谷川技がそうだったように、相手を外角から脅かす恐いシューターとしての長谷川技の復活も、個人的には大いに期待したいと思っています。

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