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タイムシェアを指標化して、常時オンザコート2の影響を視覚化する

今シーズンからいわゆる常時オンザコート2となり、外国人選手が常に2人コートに立てることになりました(ベンチ入りは2人まで、選手登録は3人までです。)これに伴い外国人選手のプレータイムにファンの注目が集まっています。この記事ではタイムシェアを指標化し、視覚化することで、制度変更がプレータイムに与える影響を見てみたいと思います。

あと私の個人的なファン心理として、全員バスケットを応援したいという気持ちがあります。プレータイムがもらえていない選手に気が付くと気になってしまう質なのです。昨シーズンだと千葉の阿部(現富山)なんか気になっていました。今シーズンだとA東京の斎藤あたりも。タイムシェアに指標を設けることで、各チーム感での比較も可能になります。そうするとよりタイムシェアをしているチームがどこなのか、していないチームがどこなのかに着目することもできます。

それにBリーグさんだって今シーズンの終わりには制度変更の影響を振り返らなければならないはずです。感覚のみで是非を判断しない為にも、何某かの指標は必要ではないかと思います。私は普段の仕事で定量的に仕事の結果を表現する役目になることが多く、ちょっとそういうのも気になってしまいます。もしBリーグさんの参考にもなれば幸いです。

どのようにタイムシェアを指標化するのか

タイムシェアの指標として、よく経済の分野で使われる「ジニ係数」というものを導入したいと思います。経済の分野は小難しい内容も多いですが、ジニ係数の概念は簡単ですのでお付き合い下さい。

ジニ係数とは?

ここに子供が50人がいて、キャンディが100個あるとします。このキャンディを子供たちに自由に分配させるとします。

みんなで相談してひとり2個ずつ平等に分けるかもしれませんし、ある一部の子供たちが他の子供たちよりも多くキャンディを手にするかもしれません。最悪ひとりのガキ大将が100個すべて独占するかもしれません。

この分配の結果を以下のような正方形の図にします。

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すべての子供にキャンディが平等に行き渡れば、図に引かれる累計の個数を表す線は真っ直ぐな対角線になります。しかし一部の子供たちによる独占があればあるほど、累計の線が徐々に右下に向かって拡がって行きます。ひとりによってすべてが独占された場合、この線は下辺と右辺に沿うものになってしまいます。

こうすることで、この対角線と引かれた線の間にある領域の面積が大きければ大きいほど不平等、という性質が出来上がります。簡単に言うと、この面積の大きさがジニ係数です。正確に言うと、この面積が三角形の面積と比べてどのくらいか、というのがジニ係数です。

完全に平等(みんな2個ずつ)だとジニ係数は0、完全に不平等(ひとりが100個を独占)だとジニ係数は1になります。よってジニ係数は0か1かその間の値になります

バスケットボールのプレイタイムの場合

バスケットボールは5人で行うスポーツなので、ひとりでプレイタイムを独占することは出来ません。最低でも5人で独占です。なのでジニ係数は絶対に1にはなりません。

Bリーグではベンチに入れる最大の人数は12人ですが、全部で12人の選手がいるのにスタメンの5人が交代なしで最後までプレー(つまりすべてのプレイタイムを独占)した場合、ジニ係数は約0.583となりますBリーグにおいてはこれがジニ係数の最大値だと思って良いでしょう。

2017-18のB1レギュラーシーズンのジニ係数を見てみる

ではまずは昨シーズンのB1レギュラーシーズン全試合分のジニ係数を見てみましょう。皆さんのお気に入りのチームはタイムシェアをしていたチームでしょうか、それともそうでないチームでしょうか?繰り返しになりますが、値が小さいほどタイムシェアが出来ているという指標です。プロットはいつも通り箱ひげ図にて行いました(そのうち箱ひげ図の説明もブログに書きたいと思います。)

ではどうぞ!

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頑張れレバンガ!

レバンガ北海道の全員バスケット素晴らしいです!シーズンを通してタイムシェアを行っていた様子が分かりますね。アットホームな雰囲気のあるレバンガ北海道にぴったりだと思うのは私だけでしょうか。レバンガはこういう部分をさらに積極的に売り出してもいいかもしれませんね。

この分析を行うまでは実は全員バスケットと言ったら名古屋ダイヤモンドドルフィンズというイメージがあったのですが、どうやら名古屋は次点のようです。SR渋谷と、あと小憎らしいことに王者アルバルク東京もタイムシェアがされていたようです。

タイムシェアがあまりされていなかったのは三河や富山です。富山のプレイタイムの偏りはこのブログでも何度か取り上げていますが、実は三河はノーマークでした。中央値(箱の中の線)や75パーセンタイル(箱の上辺)を見ると頭ひとつ抜けてタイムシェアがされていなかったようです。これ見ると改めて比江島と橋本が抜けた穴の大きさを感じます。それだけたくさんプレーをしていた選手がふたり抜けてしまった訳ですから。

昨シーズン1番タイムシェアされたケースと、1番されなかったケースを見てみる

さて、少し実例を見てみましょう。レバンガ北海道ジニ係数が0.1に迫る試合があったのが図から分かりますが、こちらでスタッツが見られます。各選手のプレイ時間はこのようになっています。

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見事ではないでしょうか?思わず「美しい…」と呟いたほどの全員バスケット振りでした。

次に三河ジニ係数が0.55くらいまでいった試合のプレイタイムを見てみましょう。上述しましたが理論上の最高値は0.583くらいのはずなので、かなりの独占ぶりであることが想像されます。この試合のスタッツはこちらから見られますが、プレイタイムは以下のようになっていました。

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どうでしょうか、かなりの独占ぶりではないでしょうか?かろうじて西川と松井がプレイタイムを得ている以外はほぼスタメンだけで試合をこなしたような形だったようです。

常時オンザコート2の影響は?

さてでは今シーズンの値を見て、昨シーズンの値と比較してみましょう。この執筆時点では2018-19シーズンは5試合しか終わっておりませんので、その5試合をプロットしたいと思います。このサイズだと箱ひげ図にしてもしょうがないので、先ほどの昨シーズンの箱ひげ図の上に重ねて赤色の点で今年の値をプロットします。

このようになりました。

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これはどうでしょう。なかなか一言では表し辛いです。

全体的にはやはりプレイタイムの独占が進んだように見えます。京都、栃木、北海道なんかは軒並み昨シーズンと比べると高い数値が出ていますね。北海道はHCが変わったなどの影響も強くあると思いますが、今のところ全員バスケットの雰囲気はないようです。京都は確かロスターが他のチームより少なかったと思いますが、それでもこれだけ高い数値が出るということは、かなり交代を抑えているのではないでしょうか

一方で三河、川崎、大阪あたりはかなり数値が落ちています。川崎はファジーカスが出場しなかったなども影響していると思いますが、一方でセカンドチームがうまく機能するようになってきた感じもありました。かなり良い兆候ではないかと思います。三河の値が下がったのは、これも結局は比江島、橋本が去ったことによるものでしょう。大阪については今シーズンのことはまだよく知らないので、今度ゲームを観るときの楽しみにしておきます。

チームを全部まとめて今シーズンと昨シーズンを比較したらこうなりました。

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まあまだ語るには早すぎる面は否めませんが、どうやらぐっとジニ係数が高めのところにまとまった感があります。比較的どのチームも似たような割合でプレイタイムを分配するようになってきたのかもしれません。今後これがどう変化してくるのかはすごく興味深いです。

まとめ

プレイタイムのタイムシェア具合をジニ係数を用いて指標化しました。昨シーズンを見ると北海道や名古屋は全員バスケットで挑んでいた様子が分かりますが、三河や富山はかなりプレイタイムに偏りがあった様子が分かります。また今シーズンに導入された常時オンコート2の影響は一部のチームには強く出ている気配はありますが、チームによってはタイムシェアが進んでいる場合もありました。いずれにせよまだ今シーズンは5試合を消化しただけなので、もう少しシーズンが進むのを待ちたいと思います。

バスケットボールは交代が自由なスポーツなので、その他の交代に制限があるスポーツとはまた違った交代の戦略が求められます。別にプレイタイムを平等にシェアすることが正解だと言いたい訳ではないのですが、どのようなプレイタイムの分配がどのような結果につながったか、そういう分析の一助になれば幸いです。