データとバスケ

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書評「千葉ジェッツの奇跡」(島田慎二)

ご存知千葉ジェッツふなばしの社長である島田慎二さんによるもの。今はBリーグ自体のバイスチェアマンも兼任されてらっしゃいますね(この就任の馴れ初めも本書で紹介されています。)

「奇跡」と銘打っているものの、本書を読んだ感想としては、島田さんは経営の「当たり前」をスポーツチーム経営という商売に持ち込んだ。そしてそれを土台として千葉ジェッツふなばしは成功した。いや、成功への道を歩みつつある、というところだろう。

私はまったくの未経験であるが、スポーツチームの運営のような仕事は「夢」のようなものがドライバーになっているケースはきっと少なくなくないだろうと思う。そしてそれが経営の当たり前を妨げるケースも想像できる。

もちろんこの夢があったからこそ、リスクを取る者たちが現れ、bjリーグは立ち上がり、そして今のBリーグも存在するのであるから、まずはその人達にひとりのファンとしてお礼を言いたい。

しかしやはり健全な財務体質、利益の出るビジネスモデル、社員の過度な自己犠牲に依存しない、そういったビジネスの基本なくして運営は存続できないし、何よりそういう運営の下に強いチームは育たない。

私はBリーグの財務体質については非常に気にしている。選手の年俸の向上についても同様。そうした部分の向上がなければ、日本のバスケの未来もないと思っているからです。

本書にもあるようにソフトバンクのスポンサーシップに依存した体制は未来永劫続けられるものではないし、Bリーグ自体が、それぞれのチーム自体が、まず健全な経営と財務体質を目指す必要がありす。

日本のバスケの今後のためには、選手の強化以上に、そういうインフラの整備が必要だと思います。適切なインフラがあれは、そこで選手やチームは育ちますし、必ずや世界レベルの選手も出てくる筈です。

アリーナの問題に関しては知らなかったが、確かに言われてみれば今は体育館での開催ですね。島田さんもおっしゃる様にバスケは「観戦の体験」が素晴らしいスポーツなので、是非箱も合わせてトータルな観戦体験を演出できるよう、ここはさらなる議論が必要だと思います。