データとバスケ

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書評「B.LEAGUE(Bリーグ)誕生 日本スポーツビジネス秘史」(大島 和人)

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本書は『党首』として一部のスポーツファンにはお馴染みのライター、大島和人さんによる日本バスケットボールの現代史です。私もTwitterでときどき楽しくやりとりさせて頂いておりますし、バスケに関する通常の記事も読ませてもらってます。

大島さんはバスケにまつわる、こう言っては何ですが下世話な話、例えばお金の話なんかをさらりと冷静に、ワイドショーのような下品なやり方でない形で掬い上げるのが上手なライターさんという印象です。本書でもそのスキルは存分に発揮されていると思います。

大島さんが書かれた日本バスケの話であれば是非読みたいと予約して購入したのですが、コロナ禍で唯一の読書タイムだった通勤電車に乗る時間がなくなり、購入から約一か月でようやく読み終えました。

本書を読み終えた率直な感想は「是非、漫画化して欲しい」でした。何でも漫画化などのデフォルメを行う風潮はあまり好きではないのですが、歴史読み物のような本書と漫画は相性が良いと思います。あと登場人物がかなり多いので、絵でも人物が区別できると良さそうです。何よりもっと多くの人に届いて欲しいです。

漫画化であれば主人公を設定する必要がありそうですが、個人的には境田弁護士を推したいです。一般的には「お堅い」印象のある仕事に従事している方が、豪腕の改革者の右腕となってスポーツかいで悪戦苦闘する様、漫画向きではないかと思います。もちろん、実際にどういう方かは存じないので、あくまで本書から想像して物を言ってるだけですが。

もうひとつ感想を述べるのであれば、やはりバスケ界の混乱期も含め、今の礎を築いてくれたすべての人とそのバスケ愛に感謝しなければということです。この様な改革の歴史があると、得てして改革側と体制側という枠組みに嵌め込み、改革側の肩を持ってしまいがちです(ちなみに本書でそのように描写されている訳ではないです。)

もちろんそういった構図は少なからずあったでしょうが、混乱期も含めてすべては様々な人々のバスケ愛、血と汗によって築き上げられたバスケ界、それらをすべて含めて、今バスケを存分に楽しめる、存分に応援できる環境があることに感謝したいと思います。