バスケットボールの戦い方 [ピック&ロールの視野と状況判断] (マルチアングル戦術図解)
- 作者: 佐々宜央
- 出版社/メーカー: ベースボール・マガジン社
- 発売日: 2018/09/04
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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琉球ゴールデンキングスのヘッドコーチとしてお馴染みの佐々宜央さんによるバスケの、というかピックアンドロールの解説書です。
よく比喩で「〇〇について本気で語りだしたら、それだけで本が一冊書けてしまう」というような言い方をすることがあると思うのですが、本書は本当にピックアンドロールについて本を一冊書いてしまったという書籍です。ピックアンドロールの専門書です。
何かを買ってしまった…#琉球ゴールデンキングス#佐々宜央 pic.twitter.com/FLmNlhMXg4
— 増田林太郎 / Rintaro Masuda (@rintaromasuda) 2019年11月4日
でも安心して下さい。「専門書」と聞いて想像するような堅苦しさも、難しさも、複雑さも一切になく、むしろタイトルにあるようにマルチアングル(各登場人物それぞれの視点)による図解が中心となっていて、非常に分かりやすい内容となっています。
表紙の絵にあるような3Dっぽいビジュアルが独特で、よく使われるバスケットコートを真上から見たような2Dの解説よりも分かりやすいです。カラーも登場人物を区別するのに使われていて、それも大きく理解のし易さに貢献しています。
それでもやはり専門書なので内容は濃厚です。例えばピックアンドロールをするときのボールマンはどちらの足を軸足にしてボールを受けとるべきか、スクリーナーがゴールに向かってロールするときは前向きにロールするべきか、後ろ向きにするべきか、そんな事まで非常に細かく考え方が解説されています。
バスケを実際にプレーした経験がなくても、例えばいつも見ているBリーグのゲームをもっと理解したい、知りたい、というファンの方にも楽しんでもらえる一冊に仕上がっていると思います。もちろんバスケを純粋に向上させたいプレーヤーやコーチの方にも素晴らしい内容ではないかと思います。
余談ですが、私個人がどうしてこの本を購入しようかと思ったのか少し書いてみたいと思います。
簡単に言うと、ピックアンドロール関連のものをはじめとして、少しバスケットボール関連の用語を自分の中で更新しておきたいというのがありました。
「リバウンド」、「キックアウト」、「ボックスアウト」、こうした用語は既にバスケファンの間でも共通言語として浸透していると思いますし私も正しく使用できる自信はあるのですが、例えば「アイス」、「ハードショー」、「ポップ」、そういった用語は私の中で理解が曖昧になったままでした。
私は決してスポーツの専門用語や戦術の理解が楽しく観戦するために必須だという立場ではありませんが、近年バスケが注目されてきたことにより、私のような素人が書いているものも含めてバスケコンテンツの内容が多様化、詳細化し、上述の「共通言語」が次のレベルに進みだしている感覚があります。
ライト層、初心者、カジュアルファン、呼び方は色々とありますが、いずれにせよそういった方々への窓口は常に広く開いている必要があると思っています。一方で、既存のファンの中では徐々にこの「共通言語」を育てていく活動もバスケの発展の為には大事なのかな、と思ったりもする今日この頃です。
そのような流れの中で、もう少し色々と理解した方がよりバスケの観戦を楽しめるだろうという結論に自分の中で達したので、この書籍を購入した次第です。似たような書籍も買うかもしれません。ジェッツの大野ヘッドコーチの書籍も面白そうです。
本書は用語の解説はもちろん、さらに内容は踏み込んでいて、例えばサイドとエルボー(ちなみにこれも正確にはどこを指すのか曖昧に理解していました)ではピックアンドロールに関してどのような考え方の違いがあるのか、そういう解説もあります。
細かい解説を理解しようと読みながら、各チームはこんなところにまで拘って日々の練習をしていたり、本番のゲームの中でそれを状況判断しながら実践してるのかと考えると、本当に頭の下がる思いにもなります。
そして本書を読んでいると、早く次のバスケのゲームが観戦したくなりますね。もちろん、見たいプレーはピックアンドロールです。