前回の記事の続きです。それにしてもフリースローって研究のし甲斐がありますよね。何と言ってもディフェンスの影響を考慮しなくていいのが素晴らしいです。あ、ブースターディフェンスはありますけどね!会場毎のフリースロー成功率を調べるなんてのも面白い試みかもしれません。
疲労でフリースローの成功率は下がるのか
この記事の中で2Qと4Qにフリースローの成功率が落ちており、疲労の影響を想像しました。と言っても、選手によってはゲームに出っ放しの場合もあるでしょうし、2Qから登場することが主な役割の選手もいる為、全ての選手をひとまとめにしたデータではなかなか強い確信を持つことは出来ません。
よって今回はひとりひとりの選手に着目し、それぞれの選手のQごとの成功率がどのように変化していくのかに着目してみます。本当はプレータイムが増すに連れてどのように変化していくのかを見れれば一番良かったのですが、データをそのような形で集計できていないので(実現は可能なはず)、今回はQ毎で行きます。
今回はB1、B2の過去4レギュラーシーズン(2016-17~2019-20)の4,029試合のデータを利用し、その中から『全てのクォーター(延長は無視)で50本以上のフリースローを放っている』という条件で127選手を抽出しました。その後、それぞれの選手の総フリースロー成功率と各Qのフリースロー成功率を比べ、各Qの成功率がどれくらい上振れ、または下振れしているかを見てみました。
以下がその結果です。y軸がその「振れ」を表していると思ってもらっていいのですが、ざっくり言うと+2だとかなり上振れしていて、-2だとかなり下振れしていることになります。0だと振れはなしです。
全体傾向として1Qと3Qが上振れしていそうで、4Qはかなり下振れしていそうだという結果となりました。2Qはまあ標準的でしょうか。まあやっぱり、疲労が成功率に与える影響を想像させる結果となりました。
極端な上振れ、下振れを起こしている選手を調べてみる
極端な上振れ、下振れを起こしている選手をピックアップしてみましょう。まあ上振れと言っても下振れと表裏一体の関係にあるので、もし成功率で誰かを称賛するべきだとしたら、ここには名前の出てこない選手なのかもしれません。
1Qに上振れ・下振れ
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
ドゥレイロン・バーンズ | 79.5% | 92.3% | 77.5% | 84.2% | 76.2% |
ロバート・サクレ | 76.9% | 84.7% | 73.7% | 78.4% | 74.5% |
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
高山 師門 | 77.5% | 66.7% | 76.8% | 80.9% | 81.1% |
ジョシュ・チルドレス | 74.1% | 61.7% | 69.4% | 76.9% | 80% |
ジョシュ・ダンカン | 78.9% | 66.1% | 75.4% | 82.6% | 84% |
2Qに上振れ・下振れ
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
アレクサンダー・ジョーンズ | 65.1% | 61.5% | 77.9% | 66.2% | 56.6% |
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
ニック・ファジーカス | 83.7% | 86.4% | 77.7% | 86.8% | 83% |
アイザック・バッツ | 63.1% | 64.6% | 53.4% | 65.5% | 67.5% |
笠原 太志 | 62.5% | 69.7% | 50.7% | 63.4% | 63.5% |
ファイ パプ月瑠 | 46.8% | 46.4% | 36.8% | 47.7% | 55.4% |
3Qに上振れ・下振れ
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
ジェロウム・ティルマン | 80.1% | 77.9% | 75.3% | 86.1% | 80% |
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
クリント・チャップマン | 73.1% | 77.6% | 75.8% | 62.8% | 75.4% |
ジョシュ・ホーキンソン | 81.8% | 84.7% | 85.3% | 76.2% | 83.4% |
4Qに上振れ・下振れ
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
ファイ パプ月瑠 | 46.8% | 46.4% | 36.8% | 47.7% | 55.4% |
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
朝山 正悟 | 80.8% | 83.7% | 83.3% | 84% | 74.6% |
太田 敦也 | 65.4% | 62.1% | 65.9% | 72.1% | 53.8% |
チェハーレス・タプスコット | 77.8% | 82.6% | 79.9% | 78.6% | 73% |
おまけ
選手 | 総成功率 | Q1成功率 | Q2成功率 | Q3成功率 | Q4成功率 |
---|---|---|---|---|---|
金丸 晃輔 | 92.3% | 93.4% | 93.7% | 92.3% | 90.4% |
まとめ
各選手のQごとのフリースロー成功率を見てみました。まあデータはどうあれ、疲れているときでもパフォーマンスを発揮できるのかどうか。これはバスケットボール、ひいては勝負事全般において非常に重要な事項であろうと思います。