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書評「100問の“実戦ドリル”でバスケiQが高まる」(小谷究・佐々木クリス)

100問の“実戦ドリル”でバスケiQが高まる

100問の“実戦ドリル”でバスケiQが高まる

BリーグでもNBAでも解説や通訳の活動でお馴染みの佐々木クリスさんと、流通経済大学の助教授でいらっしゃる小谷さんによる、特にオフェンス面に特化したバスケットの戦術解説書です。

小谷さんについては存じませんでしたが、千葉ジェッツの大野HCともバスケットの戦術に関する書籍を出版しており、この分野の専門家でいらっしゃるようです。ちなみに究と書いて「きわむ」と読むようで、まさに名が表すような活動をしていらっしゃるんですね。

本書はNBA、Bリーグ、国際試合などから、実際にプレーされたオフェンスを100個、まずは状況を解説し、その後そのオフェンスがどのように展開したのかを読者に考えさせる、という作りになっています。想定読者は基本的にはバスケ少年少女のようです。

読者としてはその考えるという部分こそが一番大事なポイントなので、是非すぐにページをめくって答えを見るのではなく、自分の頭の中で考えたことを書き出したりした上で答え合わせをすると良いのではないかと思います。

最近のBリーグや日本代表のゲームで実際に起こったオフェンスも取り上げていますので、いくつかは解説を読んだだけで思い出せるプレーもありました。図と解説を見るだけでかなり頭の中にそのときのシーンが想起されるのは面白かったです。もちろん見た事がないゲームについても楽しめました。

「詰将棋」ってありますけれど、これは言わば「詰バスケ」ですね。ただ本書の冒頭で強調されているように、決して答えはひとつではありません。あくまで自分の考えをアウトプットし、それを実際にどのようにオフェンスが展開したかと比較することが大事だと思います。

本書が教科書であれば、講義形式よりもディスカッション形式の授業で使いたいな、と思いました。私はバスケットの戦術的な部分には疎いのですが、こういう分野も基礎を理解しているとよりゲームが面白く観られそうなので、本書を参考に今後もBリーグを観ながら勉強したいと思います。