前回の記事ではBリーグの2017-18シーズンの得点王争いについて考察しました。ただ記事の中でも触れたように、得点の機会が多ければそのまま総得点数は上がっていく訳ですから、本当の意味での得点力を知る為には選手の得点"効率"を知ることが必要になります。
得点効率の判断の仕方は様々ありますが、この記事ではその中から現在手に入るデータで計算できるものに絞り、2017-18シーズンにおいて得点効率の高かった選手が誰なのかを見ていきたいと思います。
分ごとの得点力
何かの理由により出場時間はあまり長くなかったものの、その出場時間内では多くの得点を挙げた選手がいたかもしれません。よって出場時間(分)ごとの点数(PPM)が高かった選手のベスト10を見てみましょう。ちなみに出場時間が100分に満たなかった選手は除くことにしました。
2017-18シーズンの分ごとの得点力ベスト10
TEAM | PLAYER | G | PTS | MIN | PPM |
---|---|---|---|---|---|
新潟 | ダバンテ・ガードナー | 59 | 1695 | 1771.73 | 0.96 |
川崎 | ニック・ファジーカス | 60 | 1517 | 1794.27 | 0.85 |
三遠 | カルティエ・マーティン | 17 | 328 | 430.00 | 0.76 |
富山 | クリント・チャップマン | 22 | 342 | 453.83 | 0.75 |
島根 | アル・ソーントン | 22 | 337 | 453.17 | 0.74 |
北海道 | マーク・トラソリーニ | 56 | 1065 | 1484.45 | 0.72 |
三遠 | ウェンデル・ホワイト | 38 | 558 | 773.88 | 0.72 |
京都 | ジュリアン・マブンガ | 47 | 734 | 1030.80 | 0.71 |
京都 | ジョシュア・スミス | 58 | 972 | 1394.12 | 0.70 |
西宮 | ドゥレイロン・バーンズ | 59 | 801 | 1142.70 | 0.70 |
ガードナー、ファジーカスの二大巨頭のポジションに変化はありませんでしたが、それ以降にはマーティン、チャップマン、ソーントンなど総出場時間が400分台に留まってしまったものの高い得点力のある選手が並びました。
京都からはマブンガとスミスがランクインしており、今シーズン好調であったハンナリーズの攻撃力がここに表れているのではないでしょうか。
FG%, EFG%, TS%
FG%とはフィールドゴール(フリースロー以外のシュート)が何%の確率で決まったかという数字です。普通にBリーグのスタッツページなどにも記録されている数字です。
EFG%(Effective Field Goal %)とは、こちらのNBAのサイトなどにも情報がありますが、スリーポイントシュートの成功の場合はシュート1.5本分の成功とみなす改造版FG%です。
TS%(True Shooting %)とはフリースローを打った回数(FTA)も考慮に入れて、総得点(PTS)とフィールドゴールを打った回数(FGA)と共に以下のように求める指標です(×100は省略しています。)
PTS / 2 * (FGA + 0.44 * FTA)
ではこれらの数字を見てみましょう。以下は試合平均得点ベスト20の選手にそれぞれの%の情報を足したものです。こちらでも総試合出場数が30に満たない選手は除かせて頂いています。60%を超える数字はボールドになっています。
2017-18シーズンの試合平均得点ベスト20にFG%, EFG%, TS%を付加
TEAM | PLAYER | G | PTS | PPG | FGP | EFGP | TSP |
---|---|---|---|---|---|---|---|
新潟 | ダバンテ・ガードナー | 59 | 1695 | 28.7 | 0.57 | 0.59 | 0.66 |
川崎 | ニック・ファジーカス | 60 | 1517 | 25.3 | 0.55 | 0.58 | 0.63 |
北海道 | マーク・トラソリーニ | 56 | 1065 | 19.0 | 0.56 | 0.60 | 0.64 |
千葉 | ギャビン・エドワーズ | 60 | 1088 | 18.1 | 0.61 | 0.62 | 0.64 |
島根 | ジョシュ・スコット | 48 | 870 | 18.1 | 0.52 | 0.52 | 0.57 |
富山 | 宇都 直輝 | 59 | 1005 | 17.0 | 0.45 | 0.46 | 0.51 |
京都 | ジョシュア・スミス | 58 | 972 | 16.8 | 0.67 | 0.67 | 0.68 |
SR渋谷 | ロバート・サクレ | 60 | 992 | 16.5 | 0.48 | 0.48 | 0.53 |
A東京 | アレックス・カーク | 60 | 973 | 16.2 | 0.61 | 0.62 | 0.67 |
三河 | 金丸 晃輔 | 57 | 894 | 15.7 | 0.44 | 0.52 | 0.55 |
千葉 | 富樫 勇樹 | 50 | 787 | 15.7 | 0.47 | 0.57 | 0.60 |
京都 | ジュリアン・マブンガ | 47 | 734 | 15.6 | 0.45 | 0.52 | 0.59 |
三河 | 桜木 ジェイアール | 59 | 916 | 15.5 | 0.56 | 0.56 | 0.61 |
琉球 | ハッサン・マーティン | 58 | 889 | 15.3 | 0.64 | 0.64 | 0.66 |
大阪 | キース・ベンソン | 32 | 476 | 14.9 | 0.52 | 0.53 | 0.57 |
名古屋D | ジャスティン・バーレル | 56 | 826 | 14.8 | 0.61 | 0.61 | 0.65 |
三遠 | ウェンデル・ホワイト | 38 | 558 | 14.7 | 0.43 | 0.48 | 0.52 |
滋賀 | ディオール・フィッシャー | 59 | 803 | 13.6 | 0.62 | 0.63 | 0.67 |
西宮 | ドゥレイロン・バーンズ | 59 | 801 | 13.6 | 0.39 | 0.46 | 0.52 |
横浜 | 川村 卓也 | 57 | 778 | 13.6 | 0.42 | 0.49 | 0.54 |
外からのプレーがほぼ一切ない京都のスミスが高い%を誇っているのが分かりますが、千葉の富樫や、圏外ですが川崎の辻などアウトサイドの選手も、FG%は40%代ですが、TS%では60%を超えてきています。
ボールとの接触(タッチ)をどれだけ得点に繋げたか
Bリーグが提供している統計情報では計算は不可能ですが、NBAですとボールとの接触の何%を得点に繋げたのか、といった細かい指標まで計算されています。Bリーグでも近い将来にこのようなプレイごとの統計情報が手に入るようになると嬉しいです。
得点をどれだけフリースローで挙げたか
フリースローはその名の通りフリーに打てるわけですから、なるべく多くの得点をフリースローで挙げることが出来れば効率的だと言えそうです。以下は総得点におけるフリースローによる得点の割合(FTR)が高かった選手のベスト10です。総得点が100点に満たない選手は除いています。
2017-18シーズンのフリースローによる得点の割合が高かった選手ベスト10
TEAM | PLAYER | G | PTS | FTM | FTR |
---|---|---|---|---|---|
A東京 | ランデン・ルーカス | 18 | 118 | 40 | 0.34 |
京都 | ジュリアン・マブンガ | 47 | 734 | 225 | 0.31 |
北海道 | 桜井 良太 | 60 | 356 | 100 | 0.28 |
三河 | コートニー・シムズ | 21 | 181 | 51 | 0.28 |
滋賀 | 横江 豊 | 53 | 110 | 31 | 0.28 |
三遠 | 太田 敦也 | 60 | 496 | 134 | 0.27 |
大阪 | 橋本 拓哉 | 57 | 409 | 109 | 0.27 |
三河 | ダニエル・オルトン | 38 | 444 | 121 | 0.27 |
新潟 | ダバンテ・ガードナー | 59 | 1695 | 435 | 0.26 |
栃木 | ジェフ・ギブス | 35 | 430 | 111 | 0.26 |
オールラウンドプレーヤーとして有名な京都のマブンガはなんと総得点の3割をフリースローによって挙げていました。連続試合出場数の記録で有名な北海道の桜井も28%の得点をフリースローによって挙げています。
まとめ
2017-18シーズンにおいて、選手がどれだけ効率的に得点を挙げているかを見てみました。総合的に結果を見ると、やはり得点王のガードナーは効率よく点数を挙げていたと思います。もう一人推すとすれば、京都のジュリアン・マブンガでしょうか。非常に効率よく点数を重ねているという印象です。
同じような要領でチームの得点効率を測ることもできるので、近いうちにそれも計算してみたいと思います。
なおEFG%やTS%は以下の書籍を参考にして学びました。
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